生理が予定よりも早まったり、遅れたりといった経験は、多くの女性が経験していることでしょう。月経が始まってから数年間はホルモン調節機能が未熟なため生理不順になることがあります。
しかし、18歳頃になっても同じような状態が続いている場合は、将来の妊娠に対して問題になることがありますので、一度、婦人科で相談してみましょう。ここでは、生理周期が乱れる原因とその対処法、病院を受診するべき目安などを解説します。
どこから生理不順?順調な生理と生理不順の違い
生理周期は25~38日、生理期間は3~7日間続くのが正常な範囲です。これよりも周期が短くなる・長くなる・不安定になるといった場合は「生理不順」とみなされます。個人差はありますが、月経血の量については1回の生理周期で50〜120cc、月経血は赤色が通常です。
生理不順の原因
生理不順は、エストロゲンとプロゲステロンと言われる2種類の女性ホルモンの分泌バランスが乱れることで起こります。その2種類の女性ホルモンのバランスが乱れる原因には、以下のことがあげられます。
- ストレス
- 睡眠不足
- 激しいスポーツ
- 急激で無理なダイエット
- 子宮や卵巣、脳の病気
また、生理不順の原因を考える際は、生理周期のほか、月経血の量、色や状態も見てみましょう。とはいえ、月経血の量を毎回測るというのは現実的ではありませんから、普段より量が多いか少ないかということで判断するとよいでしょう。
色や状態については、赤黒い血や、レバーのような塊がある場合は、過多月経と診断されることもあります。生理が来ていれば大丈夫!という訳ではないのです。
生理不順の改善方法
ストレスや睡眠不足、無理なダイエットなどによって女性ホルモンの分泌がうまくいかず、生理不順に繋がります。生理周期を整えるために、以下のようなことを心がけましょう。
- ストレスや睡眠不足の解消
- 過度なダイエットをしない
- 激しすぎる運動を控える
- 日々の食事に気をつける
では、一つずつ解説していきましょう。
ストレスや睡眠不足の解消
ストレスや睡眠不足は誰しもが経験することがあるでしょう。過剰なストレスや長期にわたる睡眠不足は、女性機能に必要なホルモンの分泌を抑制し、結果的にホルモンバランスが崩れることで生理不順を引き起こします。
日常的にストレスを溜め込まないように、ストレスの解消法を把握しておくとともに、十分な休息をとることも意識しましょう。
起床後は太陽光を浴びる
太陽光を浴びることで体内時計をリセットすることができます。眠気を誘発するメラトニンというホルモンの分泌が抑えられるからです。また、メラトニンは太陽光を浴びてから約14〜16時間後に分泌が再開されるため、夜になると自然と眠気を感じるようになるのです。
このように、体内時計を整えることで、不眠、睡眠不足を改善します。
就寝前に入浴をしない
人は、体温が下がると眠くなるという性質を持っているため、寝付きを良くするためには体温を下げなくてはいけません。体温が下がるのに約1時間ほどかかりますので、眠りにつく1時間前までには入浴を済ませましょう。
また、おすすめの入浴方法は首まで浸かる全身浴です。首を温めることで自律神経が整うだけではなく、内臓の血液循環もよくなり、リラックス効果も期待できます。シャワーの場合は、足首や手、首筋などの動脈に当てて、全身を温めることを意識しましょう。
過度なダイエットはしない
栄養バランスの乱れはカラダに大きな負担をかけます。また、体重が短期間で減少するとカラダが栄養不足による生命維持の危機だと感じ、脳や心臓などの臓器へ優先的に栄養を送るため、卵巣へは十分な栄養がいかなくなってしまうのです。その影響により、女性ホルモンの分泌バランスが乱れ、生理不順になってしまいます。
目安としては3ヶ月でマイナス5kgを目標にしてみてください。カラダに負担をかけすぎず、健康的なダイエットができます。
激しすぎる運動は控える
適度な運動は大事ですが、普段ほとんど運動をしなかった人が急に過度の運動を行うと生理不順になることがあります。また、女性アスリートの方が抱える問題の一つでもあります。運動量に見合った栄養が摂取できていないことが主な原因です。
無月経が続くと、骨粗鬆症へのリスクも高まりますので、栄養補給もトレーニングの一貫であることを意識することが大切です。おすすめの運動は、ストレッチやヨガ、軽いランニングやウォーキングなどです。太陽光を浴びながら行うことで、ストレス解消や睡眠の質をあげることにも繋がりますので、ぜひ試してみてください。
日々の食事に気をつける
生理不順の改善に効果があると言われている代表的な栄養素は以下の通りです。
- ビタミンB6
- ビタミンE
- 亜鉛
- 鉄分
- イソフラボン
これらの栄養素をバランス良く摂取するようにしましょう。しかし、一人暮らしや忙しい日々の中でバランスの良い食事を毎食心がけるのは大変だと思います。そんな方におすすめする食品は納豆です。納豆は生理不順にも高価的な栄養素がしっかりと含まれているのです。
納豆を取り入れる場合は、1日1パックを目安に食べるようにしましょう。また、その他の不足しがちな栄養素はサプリメントを上手に活用することをおすすめします。
婦人科系の病気による生理不順
「生理周期が安定しない」の他に、「不正出血がある」「普段より強い生理痛を感じる」「レバーのような血の塊が出る」などの症状がある場合は、一度病院で検査を受けましょう。生理不順の原因には、ホルモンバランスの乱れだけではなく、様々な病気が隠れている可能性もあるのです。
ここでは、婦人系の病気による生理不順について解説いたします。生理周期や生理不順をあまり気にしていないという方は、これを機に意識してみてくださいね。
甲状腺の異常
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが多かったり、少なかったりすると、体に様々な症状が出てきます。その一つが「生理不順」です。内科や婦人科へ行き、生理不順の原因が甲状腺にある場合は、投薬治療を行います。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
多嚢胞性卵巣症候群とは、卵巣内の男性ホルモンの増加により、排卵機能に障害が出てしまう疾患です。うまく排卵がされなかった卵胞は卵巣に溜まっていってしまいます。排卵がない、もしくは排卵が不規則であるため生理の周期も安定しません。
子宮内膜症、子宮腺筋症
子宮内膜症は、子宮内膜という子宮の内壁にある組織が子宮の外で増殖してしまう病気です。強い生理痛や、生理周期の乱れ、不妊などの原因となります。子宮腺筋症は、子宮内膜が子宮筋の中にできる病気です。子宮内膜症ほど多くはないですが、同じように強い生理痛や月経量の増加など、生理不順の原因となることがあります。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮筋層にできるコブのような腫瘍のことです。腫瘍というとがんのような悪性腫瘍をイメージされると思いますが、子宮筋腫は良性の腫瘍で、がんとは異なるものです。漿膜、筋層、粘膜どの部分にできるかによって症状が多少変わりますが、共通して言える症状は月経量の増加です。
子宮がん
子宮のがんは、子宮の入口の部分にできる子宮頸がんと、子宮の奥の部分にできる子宮体がんの2種類があります。子宮体がんは、初期段階で不正出血、血の混じったおりもの、強い腹痛などの症状が現れます。
しかし、子宮頸がんは、初期段階では全くと言って良いほど症状が現れません。ある程度病気が進行してから不正出血や異臭のするおりものが出る、といった症状がでてきます。20〜30代で発症するケースが増えてきていますので、若いうちから年に1度は検査を受けることをおすすめします。
生理不順は早めの治療を
正常な生理では周期が25~38日で、生理期間が3~7日間続くことを指しますので一つの基準にしてみてください。生理は女性の体調のバロメーターでもあります。ストレスや環境の変化等で生理周期が安定しない女性も多くいるため、あまり深刻に考えない方も多いでしょう。
しかし、放っておいてしまうと不妊の原因になり兼ねません。さらに、重篤な病気の初期症状である可能性もありますので、「自分は大丈夫」と思わず、少しでも「いつもと違うな」と感じたら一度婦人科を受診しましょう