妊娠すると人によってはかなり辛い「つわり」。気持ち悪くてご飯が食べられない!という方もいるのではないでしょうか。
でもお腹の赤ちゃんの為にも栄養は必須。そんなつわりがひどい時に取るべき栄養や食品、そしてその食べ方を医師がご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
つわりとは?
つわりは吐き気、嘔吐、食欲不振などといった症状をもたらし、人によっては食べ物が喉を通らないくらいひどい場合も。
また、症状も人それぞれで食欲不振の場合もあれば、逆に常に何かを口に入れていないと吐き気がしたり、味覚が急激に変化し今まで食べられなかったものを急に好きになるなど本当に千差万別です。ここではつわりについて解説していきます。
つわりの期間は?
つわりは早い人だと妊娠第5週から起こり始めます。大抵は妊娠第12~16週目までに収まることも多いですが、人によっては様々。
全く感じない人もいれば、なかには妊娠第20週目にようやく落ち着いたという人も。また、一般的に「後期つわり」と言われる妊娠後期になってつわりが再発する人も。
なぜつわりが起こるのか?
この辛いつわりですが、いったいなぜ起きるのでしょうか。実はつわりの原因は明らかになってはいませんが、妊娠したことによって起こるホルモンの変化・精神的な変化などが影響していると考えられています。
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hGCホルモンなどの分泌増の影響
妊娠することによってホルモンの分泌は大きく変化しますが、hGCホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌が増加・減少する時期がつわりの始まる時期と終わる時期と同じなため、つわりに関与していると考えられています。
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プロゲステロンの消化器への影響
2点目はプロゲステロンの分泌。プロゲステロンが増加することによって腸の動きが抑えられるため、消化器症状の悪化を招くことが一因と考えれらています。
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精神的要因
3点目は精神的要因です。待ちわびた幸せな妊娠とはいっても、ママには精神的負担がかかっています。妊娠そのものへの不安、生活の変化、仕事や家族間の問題によるストレスなど自分でも認識していないストレスがつわりを悪化させていると考えられています。
つわりの種類
さて、一言でつわりといってもどんな種類のつわりがあるのでしょうか。よくあるつわりの症状例としては次の通りです。
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吐きづわり
吐きづわりは良くある症状の一つではないでしょうか。食べてもすぐに気持ち悪くなって吐いてしまうため、栄養摂取が必要な妊婦にはかなりつらいつわりです。
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匂いづわり
匂いづわりは匂いにとても敏感になってしまい、吐き気を感じてしまうつわりです。ごはんの炊ける匂いなどそれまでは良い匂いと思っていたものが急激に気持ち悪く感じてしまい、家事もままならないことが多くみられます。
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食べづわり
食べづわりは空腹になったり口に物が入っていないと吐き気を感じてしまうつわりのこと。体重制限を求められる妊婦には食べづわりはとても過酷といえるでしょう。
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寝づわり
寝づわりはとにかくだるくて眠いという症状がおそってくるつわりです。他と比べると比較的楽に聞こえますが、仕事を続けている方や子育てをされている方にはとてもつらい症状です。
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よだれづわり
よだれづわりとはよだれが出続けてしまう症状。人によっては外出時に空のペットボトルを持ち歩かなければいけないという人も。またよだれが出続けることによって水分が失われるため脱水症状にも要注意です。
つわり中に取りたい栄養素
さて、これらのつわりの症状にどのように対処していけばよいのでしょうか。妊婦は通常よりも免疫も落ちていますし、栄養も必要な状態です。食べられない、匂いが気持ち悪いからといって全く食べないのも危険です。
この章ではどんな栄養をとればいいのか見ていきます。
葉酸
妊婦に必要といわれる葉酸、サプリで摂取している人も多いでしょう。葉酸は細胞の分裂や成熟に不可欠のため、妊婦さんによっては特に重要な栄養成分であるといえます。
食べ物ですとホウレンソウやグリーンアスパラガス、また海藻類にも多く含まれています。
葉酸サプリの必要性についての詳細はこちらの記事に記載しています▼
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鉄分
赤ちゃんの成長に欠かせない鉄分。妊娠中の貧血を防ぐためにも摂取する必要があります。妊娠中は自分だけでなく赤ちゃんまで血液を運ぶ必要があるため、血液の材料となる鉄分は必須。
鉄分はホウレンソウやレバー類、大豆や豆腐に多く含まれています。貧血にならないよう積極的に摂取しましょう。
カルシウム
赤ちゃんの骨・歯を作るために必要なカルシウム。妊娠中は赤ちゃんに150~200mgのカルシウムが送られているのだとか。
カルシウムは小魚、乳製品に多く含まれています。乳製品は日ごろから摂取している人も多いとは思いますが、不足しているなと感じる方は意識的に取るよう心がけましょう。
ビタミンB6
つわり対策にも有効といわれているビタミンB6は赤ちゃんの脳の発達や免疫機能を高めてくれる栄養素です。
ビタミンB6は魚類(マグロ、カツオ、サンマ)、やバナナに含まれています。中でもマグロは断トツですが、妊娠中はお刺身など生ではなく加熱したものを食べるようにしましょう。
バナナは調理不要ですぐに食べられるのでつわりがひどい時にも食べやすくておすすめです。
つわり中のオススメの食べ方
いくら必要な食べ物がわかっていてもつわりの時期には食べることが辛かったり、調理そのものが辛いと感じるときも。ではつわりが辛いと感じるときはどのように栄養素を摂取したら良いでしょうか?
ここではオススメの食べ方についてご紹介します。
冷たくさっぱりしたもの
冷たくさっぱりとしたものは匂いづわりや吐きづわりの方でも口に入れやすいのでつわり中でも比較的摂取しやすいでしょう。温かいものは匂いを強く感じやすく、また湯気が無理という妊婦さんも多くいます。
普段は温かくして食べていたものも一度冷やして食べることで、喉越しもすっきりとして、少しずつでもお腹に入れられるかもしれません。
参考レシピ
- アボガドトマト
参考レシピの材料(2人分)
アボガド 1つ トマト 1/3枚 *オリーブオイル 大さじ1杯 *砂糖 小さじ2杯 *お酢 小さじ2杯 *練りわさび チューブから絞って1.5cmほど *醤油 小さじ1.5杯 *塩胡椒 適量 参考レシピの作り方
- アボガド・トマトを角切りする
- 材料の*をすべて合わせて、わさび醤油ドレッシングをつくる。
- 角切りにしたトマト、アボカドとドレッシングを和えるだけ。
ポイント
さっぱりとしていて食べやすく、葉酸もしっかり取れるのでオススメです!また調理にも時間がかからず、切って和えるだけなので、負担も少ないでしょう!
(引用:クックパッド)
酸味があるもの
酸味があるとのど越しがよく食べやすいと感じる方も多いでしょう。梅干しやレモンなどをうまく活用し、普段の食事や水分補給を工夫してみましょう!
レモン水やかぼすを絞った炭酸水なども、つわり中の不快感をすっきりさせてくれるので水分がなかなか取れないという方にもオススメです。
参考レシピ
- ささみの梅冷汁
参考レシピの材料(2人分)
鶏ささみ 2本 オクラ 4本 絹ごし豆腐 1/2丁 梅干し 1個 大葉 2枚 ご飯 300g *だし 2カップ(400cc) *生姜のすりおろし 小さじ1/2 *すりごま(白) 大さじ1 *味噌 大さじ1と1/3 *薄口醤油 小さじ1/2 *酢 小さじ1/2 *塩 ひとつまみ 参考レシピの作り方
- ささ身はゆでるか電子レンジで加熱してほぐす。
- オクラは少量の塩(分量外)でもむ。煮立った湯で1分30秒を目安にゆで、包丁で刻む。
- 大葉はせん切りにする。梅干は包丁でたたく。
- ボウルに豆腐を入れて泡立て器でよく混ぜ、①②③*を加えて混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やす。
- 器にごはんを盛り、④をかける
ポイント
梅干しの酸味でさっぱりと食べられる一品!鶏ささみは妊娠中に必要とされるビタミンB6が摂取できます。また、生姜には吐き気を和らげる効果があると言われているので、吐きづわりの人でも食べやすいレシピです。つわりのみならず、夏バテ時期にもオススメできます。
(引用:クックパッド)
手軽につまめるもの
つわり中やお腹が大きくなってくると、一気にたくさんの量を食べることが難しい場合もあるでしょう。また食べづわりの場合も、食べていないと気持ち悪いという状態なので、栄養価の高いものを少しずつ摂取することがオススメです。
おにぎりや野菜スティックは手軽につまめるのでつわり中でも摂取しやすいでしょう。おにぎりは1つあたりの大きさを小さくして、吐きづわりの方でも食べやすくしておくとより食べやすくなります!
参考レシピ
- 桜海老とチーズのおにぎり
参考レシピの材料(1人分)
米 1合 桜海老 5g ベーコン 50g 粉チーズ 大さじ2杯 青のり 小さじ1杯 白すりごま 大さじ1杯 参考レシピの作り方
- ベーコンは5㎜細切りにする。
- フライパンに①を入れ火にかけ、脂がなじんでくるまで2、3分炒める。
- バットなどにペーパータオルを敷き、②を広げて脂を取る。
- 米を洗って炊飯器に入れ、1合の目盛りにあわせて水を入れ炊く。
- 炊きあがったらよく混ぜる。③、桜えび、粉チーズ、青のり、ごまを加えてさっくりと混ぜ合わせる。
ポイント
桜海老、チーズ、ごまはカルシウムがたっぷり入っているので、手軽に食べられるおにぎりにしておけば、栄養も摂取できます。
また、青のりには鉄分も入っているのでつわり中の妊婦さんにも取り入れてほしい栄養素がぎゅっと詰まっています。
(引用:クックパット)
妊娠中に控えた方が良い食べ物
摂取すべき栄養があっても、食べ方によっては妊婦にとって危険となります。ここでは妊婦が避けるべきものを解説いたします。とはいえあまり思いつめすぎるのもストレスでよくありませんので楽に取り入れられるように工夫してみてください。
生物全般
生もの全般は量に関係なく摂取を控えましょう。生もの、加工されていない乳製品は食中毒のリスクがありますし、妊娠中は免疫力がさがっているので危険です。
生ものというとお刺身やローストビーフなどレアに焼いたものを想像しがちですが、忘れてはいけないのが加工されていないチーズ。モッツァレラチーズやカマンベールなどのナチュラルチーズはリステリア菌による食中毒の可能性があります。
チーズはカルシウムも取れて栄養面ではいいのですが、食中毒を避けるためにはプロセスチーズを選ぶようにしましょう。食中毒になってしまった場合でも妊婦は薬が飲めませんので、これらの生ものは量に限らず避けるのが無難です。
アルコール・カフェイン
特にアルコール。アルコールは胎盤を通じて赤ちゃんに影響が出るといわれています。毎日晩酌を楽しんでいた、という方も妊娠中は控えるようにしましょう。
また何気なく毎日飲んでいるコーヒーやお茶にもカフェインが含まれています。カフェインを摂取しすぎると流産の可能性が増えたり、赤ちゃんの発育不良への影響も心配されます。
一般的に妊娠中の女性が摂取していいカフェイン量は200mg程。妊娠していない成人は400mgなのでちょうど半分ですね。
コーヒー100mlにはカフェイン約60mg含まれていますので、コーヒー一杯飲むと一日のカフェイン摂取量の半分を越してしまいます。量に気を付けながら、デカフェにしたり、お茶も麦茶などカフェインレスのものに移行したほうが安心ですね。
ビタミンAが多く含まれるもの
ビタミンAというとなんだか健康に良さそうですが、妊婦に取りすぎは危険です。ビタミンAが多く含まれているものは、レバー・うなぎ。
なんとウナギのかば焼きは量にして50g。そんなに毎日食べるものではないですが、取りすぎることによって赤ちゃんの形態に異常をひきおこすことがあるので要注意です。
海類
海藻類も取りすぎには要注意。特に昆布にはヨウ素が多く含まれており、摂取しすぎると赤ちゃんの甲状腺機能の低下につながってしまいます。
ヨウ素の摂取推奨量は240μg/日、耐容上限量は2,000μg/日。昆布5センチ角に10,000μg含まれているので、気を付けていないとあっという間に摂取上限量を超えてしまいます。
特に日本人は普段から和食で海藻類を摂取しているので、普段の食事を見直してみましょう。
体調に合わせて食べやすい食べ方で!
つわりが辛くてもお腹の赤ちゃんのことを考えると食べなくては!と頑張るママも多いでしょう。しかしストレスは体調にもよくありません。
食べれるときに食べやすいものを摂取するようにしましょう。その中でどのようにしたら栄養素を取れるのか、手軽な方法から実践してみることがオススメです!
水分が取れない、食事が全く喉を通らないという場合にはかかりつけの産婦人科で相談してみましょう。元気な赤ちゃんに出会えるまで体調と向き合いながらゆっくりと過ごしてくださいね!