会社や学校のシーン、家族や友人、恋人との会話。毎日の中で、ささいなことに動揺しやすかったり、誰かの言葉に傷付きやすかったり、強い音や光に弱かったり。周りの人との違いや、生きにくさを感じているということはないでしょうか。
もしそんな戸惑いを感じているとしたら、あなたはHSPの特徴を持つ人かもしれません。この記事では、HSPの特徴やセルフチェックを公開します。あなたがHSPなのか、ぜひチェックしてみてくださいね。
HSPは気質とは?
ここではHSPとは何か、HSPの特徴や人口に占める割合はどのくらいなのかについてご紹介します。HSPについてしっかりと理解をした上で自分に当てはまるのかを確認していきましょう!
HSPは誰よりも感受性豊かな『繊細さん』
HSPはHighly Sensitive Person,ハイリー・センシティブ・パーソンの略語で、『人一倍繊細すぎる人』『感受性が豊かすぎる人』と訳されます。1996年、アメリカのエレイン・アーロン博士によって世界に広められた、気質的な特徴のことです。
うつ病や精神病、自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害とは全く異なる概念です。
HSPは5人に1人!病気や障害ではない
HSPの人は全人口の15〜20%を占めると言われ、約5人に1人がこの気質に当てはまります。そう考えると、結構身の回りにも多くいることになりますね。
HSPは病気や障害ではなく、生まれ持った特性です。実は、このHSPという特性を持って生まれるのは、人間だけではありません。現在確認されているだけでも、約100種以上の動物や昆虫に同じ特性が発見されています。
自然界において、生物として種の生き残りをかけて生み出された特性である、という説もあるのです。また、HSPの特徴をもつ子供たちをHSC(Hyper Sensitive Children、ハイパーセンシティブチルドレン)といいます。
最近は教育現場でも認知されるようになってきていますね。お子さんがいる方は、以下に公開したチェックリストでご自身だけでなく、お子さんのチェックをしてみるのもおススメです。
社会で生きにくい?HSPのあるある4つ
HSPの特徴は一般的に大きく分けて、4つあると言われています。それぞれどのような特徴であるのか具体的な内容についてみていきましょう。
5感などの感覚が鋭く、優れている
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。私達が持つこの五感をはじめ、第六感(直感)にも優れている人が多いのがHSPです。直感がよく当たる、という人も多いと言われています。周囲の環境の光、音、匂い、食べ物の味や衣服の肌触りに敏感で、繊細な音楽や味を好みます。
近くにいる人の体臭や、人工的な香り(洗剤や香水など)を苦手とする人もいます。夜中に時計の秒針の音や、家電の作動音が気になるという人も多いかもしれませんね。
周りの人に共感しやすく、振り回されやすい
悲しんでいる人、怒られている人など、苦しむ人を見ると強く共感し、自分の事のように感じてしまいます。物語や映画の人物に深く入り込み、感動したり感涙しやすい人が多いのも特徴です。
場の空気を敏感に察知し、他者の目線や仕草、振舞いからその気持ちを敏感に読み取る事も得意とします。その反面、他者の強い感情をぶつけられるようなことがあると人一倍傷付きやすく、打ちのめされてしまうこともあります。
あらゆる刺激に敏感で、消耗しやすい
人混みや、大きな音や光を感じる場所(例えばコンサートライブや映画館、打ち上げ花火など)が苦手で、そういった環境に疲れやすいところがあります。人と関わる事さえも刺激と感じ、消耗してしまう側面があります。情報量の多い雑然とした、物に溢れた環境も苦手かもしれません。
反対に、自然が美しい場所や、美しい音楽など「美」を感じるものや、芸術をとても好む傾向がみられます。
感覚が複雑で、本質を悟ることが得意
「1を聞いて10を知る」…そんなことわざがありますが、これはまさにHSPの特徴を表しています。1つの事柄から考えを広げ、掘り下げて知識や見識を深める事ができます。生き方や哲学に興味を抱く人も多いです。
他の人の建前や、お世辞もすぐに見抜いてしまうので、表面的なものよりも、精神的に深い人間関係を築きたいタイプです。
あなたはHSP!?セルフチェックリスト
さて、ここまででHSPの特徴についてご紹介しました。高度HSPでもある筆者が、実体験を元にセルフチェックを作成しました。あなたはHSPでしょうか?各項目のチェックをしてみましょう。
HSPセルフチェック~感覚・体質編~
□カフェインや薬が効きすぎる
□痛みに弱い
□音や光などの感覚への刺激に敏感
□周りの環境や、周囲の人の小さな変化や体調の違い等がすぐに分かる
□強い光や大きな音に圧倒され、すくんでしまうことがある
□急に声をかけられると、飛び上がるほど驚いてしまう
□映画や飲み会など、日常的でない出来事の後は、神経が高ぶってなかなか寝付けない
□人混みに行くと体調が悪くなる(頭痛、めまい、吐き気など)
□アレルギー体質やアトピー体質である
HSPセルフチェック~メンタル編~
□1人で過ごす時間が必要
□他者と何時間も一緒にいなければならないと、疲れ果ててしまう
□人の気持ちを察し、汲み取ることが得意
□その人も気付いていない本音に気付いてしまうなど、物事の本質を捉えるのが得意
□喜び、怒り、悲しみ、楽しい等、周りの人の感情に強く影響されやすい
□誰かの怒りに触れると、自分に向けられていなくても強いストレスを感じる
□些細なことで傷付き、打ちのめされてしまうことがある
□ほかの人よりも感動しやすく、とても涙もろい方である
□自然や芸術、音楽など美しいものが好きで、深い感動を覚える
□表面的な会話でなく、深い話を好む
HSPセルフチェック~生活・仕事編~
□生活環境の変化に順応するのが苦手、または時間が掛かる
□ほかの人よりも、考えることに時間を使う
□未来にどんなアクシデントが起こるか予測し、対策することに時間を費やす
□考え方が柔軟で、可能性や選択肢に気付きやすいアイディアマンである
□怖い話や痛ましいニュースが苦手、または避けている
□映画館で映画を見ると、その後数日は頭の中がその内容でいっぱいになる
□あまりにも刺激的な変化が続くと、神経がすり減る
□忙しい日が続くと、刺激のない場所で引きこもりたくなる
□同時に複数の仕事を抱えるとパニックになる、または効率が落ちる
□競争させられたり、観察される環境下では実力を発揮できない
(参考サイト: HSP(人一倍敏感な人)チェックテスト/HSP診断テスト/Are You Highly Sensitive?)
(参考書籍:苑田 純子(2015)『敏感すぎて困っている自分の対処法』きこ書房)
あなたにも当てはまる項目はありましたでしょうか。
15個以上当てはまる人は、おそらくHSPの可能性が高いと思われます。さらに多くのチェック項目が当てはまる人は、高度HSPの傾向があると言えるでしょう。しかし、HSPは多種多様です。もし1つのみしか当てはまらなかったとしても、その傾向がとても強い場合には、HSPであると言えます。
HSPは病気ではなく、あくまで「気質」なので、はっきりとした診断基準はありません。ぜひ、チェックリストをご自身の傾向を掴む参考にしてくださいね。
3つの具体的なHSP対策ポイント
その特性ゆえに、様々なシーンで生きにくさを感じることも多いのがHSPです。では、どんな風に過ごすのが良いのでしょう?実は、日常的な工夫を意識するだけで、楽になることもあるのです。具体的な対策をご紹介します。
苦手な刺激や環境を認識する
日常生活の中で、自分がどんな時、どんな場所で、どんな人といると辛くなってしまうのか、意識的に理解することから始めましょう。これは、自分にしか分からない感覚的なものです。無意識に「欠点」と捉え、仕方ないと思いがちではないでしょうか。
繊細さや過ごしにくさは、この世の中で少数派だからこそのものです。心身の声を拾い、ご自身の特性を理解していきましょう。
不要な刺激を減らす工夫
HSPは、非HSPの人が気付かないような刺激や空気感を感じ取り、ストレスと感じてしまいます。例えばテレビやラジオから流れてくるニュースには、暗い話題も多いですよね。これらに触れる事でも、無意識のうちに消耗してしまうことがあります。何気ない刺激にも、実は敏感に反応しているかもしれません。
- メディアから距離を置く
- 関わる人を選ぶ
- 飲み会や会食は安心できる人とのみ
- 感情的な人は避ける
- ネットやSNSを見る時間を決める
- デジタルデトックスをする
疲れやすさや、気分の落ち込みなどがある場合には上記の内容を取り組んでみると良いかもしれません。
過ごす環境を清潔に。空間そのもののケアをする
今、あなたのお部屋は綺麗に整理整頓されているでしょうか?実は「身の回りに物が多い」ことや「ゴミやホコリが溜まっている」ことも「刺激が多い」状態に感じる要因になります。お部屋をキレイに保ち、こまめに換気して心地よい空間を整えるのは有効です。
他にも、HSPは繊細な香りのアロマを好む人も多いので、取り入れてみてはいかがでしょうか。また、切り花を飾るのも空間の浄化に効果的です。
HSPは才能!悪い事ばかりではない
つい『自分だけが過度に感じ過ぎる』と感じて、他者と自分を比べてしまい、思い悩む事も多いかもしれません。しかし、HSPはあなたの個性であり、素晴らしい可能性を秘めた才能でもあります。
ご自身の特性を理解し、環境を整えることで、格段に過ごしやすくなることもあります。あなたにしか見えない世界を大切に、あなたにしかない力を活かしていきましょう。