妊娠をすると女性の体に様々な変化がおきます。事前に妊娠した時の症状を調べてはいるものの、いざなってしまうと戸惑う方も多いでしょう。
妊娠前は毎日快便だったのに妊娠してから便秘になってしまった方、元々便秘気味で妊婦になってもっと便秘がひどくなってしまった方など、排便に関しても様々な声を耳にします。
ここではなぜ妊娠中は便秘になりやすいのか、その理由から改善方法まで、便秘に悩む妊婦の方向けに、妊娠中の便秘改善に役立つ知識をご紹介します。
なぜ妊娠中は便秘になりやすいのか
便秘とは、腸内の便が排出されなかったり、排便があっても便が腸内に残っていたりすることで、数日間にわたり排便が順調に行われない状態のことをいいます。
元々、女性は男性に比べて骨盤が広いため、骨盤内に大腸が落ち込み、腸が曲がることで便が通過しづらくなり便秘になりやすいようです。また、腹筋や横隔膜の筋力など便を排出する力が全体的に弱いことも原因の1つと言われています。
ここでは妊娠をするとさらに便秘になりやすい理由5つについてみていきましょう。
ホルモンバランスの変化
女性は妊娠をすると、女性ホルモンのプロゲステロンというホルモンが増加します。プロゲステロンは、主に卵巣にある黄体でつくられているため、黄体ホルモンとも呼ばれています。
プロゲステロンは妊娠中の排卵を防いだり、産後のおっぱいの準備をしてくれるなど、重要な働きをします。
しかし、プロゲステロンは体内に水分を蓄えようと腸から水分を吸収し、便の水分量を減らしてしまったり、子宮などを緊張させて腸の動きを悪くさせる作用もあるようです。
そのため、水分を吸収されてすぎてしまった便がどんどん硬くなってしまったり、腸のぜん動運動が弱まって排便されづらくなるということが起こりやすくなります。
運動不足による筋力の低下
妊娠中というのは、周りから安静にするように促されたり、妊婦さん自身も慎重になったりと、妊娠前より運動量が減りがちです。また、だんだんお腹が大きくなってくると、動きづらく疲労もたまりやすくなりますよね。
運動量が減り、筋力が衰えることで腸内の動きが弱くなることが便秘の原因の1つと考えられます。
つわりによる水分不足や栄養の偏り
妊娠初期に起こるつわりには、人によって様々な症状がおこります。激しく吐き気に悩まされたり、食べ物の好みが変わったり、空腹になることにより吐き気が生じることもあります。つわりによって、水分不足や栄養の偏りが便秘になる原因となりえます。
子宮による腸への物理的圧迫
赤ちゃんが育ってくると子宮が広がり、胃や腸などの内臓を圧迫します。いっそう動きづらくなった腸内に、便が滞りやすくなってしまうのです。妊娠後期になればなるほど、この症状はでてきやすいということになります。
今すぐ試そう!便秘の解消法や摂るべき栄養とは?
妊娠中は、こういった様々な理由で便秘になりやすくなります。では、どうすれば便秘を解消・予防できるのか。今回は、妊娠中の便秘に役立つ4つの方法を紹介します。
水分をたくさん摂取する
大腸の動きが弱くなって起こる便秘に対しては、十分な水分補給が大切です。食べたものが長く腸にとどまらないように、目安として、1日1リットル以上を目標に水分をたくさん摂取しましょう。特にオススメなのは、以下の飲み物です。
【オススメの飲み物】
○ココア
材料
- 純ココア(無糖のもの)
- 牛乳or豆乳
- はちみつ
ポイント!
ご自身で量を調整しながら飲みましょう。ココアには便秘に良いとされる食物繊維(リグニン)やマグネシウムが多く含まれています。カフェイン量は多くないので1日1〜2杯程度なら問題なく飲めます。
美味しい飲み物を飲んで便秘解消になるなんて最高ですよね!ココアは純ココア(無糖)を使いましょう!お砂糖が入っているココアだと糖質が多く、体重増加や妊娠糖尿病の原因にもなりかねないので注意しましょう。
○たんぽぽ茶
ポイント
たんぽぽ茶は緩下作用があり、便通を良くしてお腹の調子を整えてくれる効果も期待できます!さらに、たんぽぽ茶はノンカフェインで身体を温める作用もあるため、身体に負担なく便秘を解消させることができます。腸の老廃物をしっかりデドックスできれば、肌荒れ、シミ、くすみの改善など美肌への近道にもなりますよ!
○紅茶
材料
- 紅茶
- 生姜orシナモン
- はちみつ
ポイント
はちみつにはグルコン酸やオリゴ糖が含まれており、腸内環境を改善して便秘改善効果があります。紅茶には体を温める作用があり、さらに生姜やシナモンを入れることにより相乗効果が期待されます。妊婦さんの冷えは天敵ですよね!?このスペシャル紅茶を飲んで心も体も温まりましょう。
バランスのよい食事を心がける
妊娠初期は、つわりで食べたくても食べられない時期がある方もいると思います。食べられない時期に無理して食べる必要はありません。無理のない範囲で以下のものを積極的に摂取しましょう。
- 食物繊維・・・ごぼう、にんじんなどの根菜類、豆類、海藻類など
- 発酵食品・・・味噌、納豆、漬け物、チーズ、ヨーグルトなど
- 植物性の油・・・オリーブオイルや亜麻仁油、アーモンド、くるみなど
- オリゴ糖・・・タマネギ、にんにく、キウイ、バナナなど
食物繊維には、水分をとりこみ、便をやわらかくする「水溶性食物繊維」と、便のカサを増やして腸の動きを活発にする「不溶性食物繊維」があります。水溶性食物繊維は、果物や海藻やこんにゃくなどに多く、不溶性食物繊維は、穀類や野菜やきのこ類などに多いです。
水溶性・不溶性どちらもバランスよく摂ることが大切です。上記以外にも、オリゴ糖には大腸の善玉菌を助ける働きがあります。また、乳酸菌やオリゴ糖は便秘解消だけではなく、便秘の再発防止にもなるため、継続的に摂取するとよいでしょう。
適度の軽い運動やストレッチが効果的
妊娠中は、身体的にお腹をかばいながらアンバランスな姿勢になってしまうため、運動する余裕のない妊婦さんも多いと思います。気持ちをリラックスさせてできるヨガやストレッチ、軽いウォーキングなど、力まずに身体に負担をかけない運動を出来る範囲で行ってみましょう。
かかりつけの産婦人科医に相談して薬を処方してもらう
どんなに対策をとっていても便秘が治らない場合があります。そんなときはかかりつけの産婦人科医に相談してみましょう。妊娠中でも服用できるお薬を処方してもらえます。
その時に、「元々便秘気味だった」「妊娠してから便秘になってしまった」など詳しく症状などを説明し、適切なお薬を処方してもらってください。
辛い時は産婦人科へ!
妊娠により、全身に様々な変化や症状が現れ、不安に思う妊婦さんもいるかもしれません。たかが便秘と甘くみず、辛いときは必ずお医者さんに相談をしましょう。
今は便秘になっていない妊婦の方も、妊婦が便秘になりやすい理由や原因をしっかりと理解し、予防のためにも生活習慣を見直しましょう。
色々ご紹介しましたが、一気に改善をしようとして、逆にストレスをためてしまわないように。神経質になりすぎない程度に、できることからコツコツと始めましょう。