最近、SNSでフェミニズム論争が繰り広げられる機会が多くなりました。「#Me Too」は聞いたことがあるという人もいるのではないでしょうか?
風俗業界は、日本だけでなく世界中で、残念ながら社会から冷ややかな見方をされる立場にあります。そこにはフェミニズム的な理由が関係しているのです。
最近需要が高まり、店舗数を増やし続けている女性用風俗についてもなぜ昔と比べて増えているのか、フェミニズムの観点でみていきます。
という人もいるでしょう。
本記事では、まずフェミニズムが何を意味しているのか、中身や歴史を辿りながら、女性用風俗をはじめとした風俗業界との関係について深堀りしていきます。
そもそも『フェミニズム』って何?
フェミニズムという言葉を聞いて、このように思っている人も多いのではないでしょうか?
風俗業界とフェミニズムの関係をご紹介する前に、フェミニズムの意味や歴史、世界での動きなどを解説します。
フェミニズムとは?
まずは、そもそもフェミニズムって何なの?というところからお話しましょう。
フェミニズムとは、女性という理由で不当な扱いを受けたり不利益を被ったりせずに、男女平等な権利を持つべきという考えや運動のこと。フェミニズムを主張する人のことを「フェミニスト」と呼び、世界ではたくさんの女性団体が活動しています。
フェミニズムの語源は、ラテン語で「女性」を意味する”femina”からきており、20世紀に入ってからよく使われるようになりました。20世紀より前からフェミニズムはありましたが、さかのぼって言葉が使われるようになっています。
海外ではフェミニズムの主張が盛ん
フェミニズムについて世界に目を向けてみると、盛んに活動が行われています。
最近でいうと、SNSで広がった「#MeToo」運動。セクハラや性暴力などを被害体験を共有する際にSNSで使われているハッシュタグですが、元は2006年、若年の黒人女性を支援する団体を設立したアメリカの市民活動家が、性虐待を受ける少女からの相談をきっかけに「Me Too」というスローガンを掲げて活動していたことはあまり知られていません。
爆発的に知名度を上げたのは、ハリウッド女優のアリッサ・ミラノがSNSに「性被害を受けた人は、”Me Too”と声を上げるように」とツイッター投稿したことがきっかけ。多くの著名人やハリウッド女優も次々と告発するようになり、世界的に広まりました。
世界には、女性の権利を主張する団体がいくつも存在しています。
日本はまだまだ保守的
実は日本でも#Me Tooと同じような抗議運動が行われていたことをご存じでしょうか?
それは2019年にSNS上であった「#Ku Too(クートゥー)」と呼ばれるもの。職場で女性がヒールのあるパンプスやハイヒールを履くことを強要されたり義務付けられたりすることを抗議する活動のことをいいます。
ちなみに海外では、イギリスで2016年に同じような抗議活動がすでに行われており、フィリピンやカナダの一部の州では、女性のハイヒール着用の強制を禁止する法律が作られました。
このように、日本でもSNSなどでフェミニズムについて目にする機会が増えましたが、経済や政治など日本社会全体においては世界と比べるとまだまだ保守的といえます。
医学部入試における女子減点問題や、管理職に女性が少ない、賃金格差、などを見ると、昔からの男女格差が社会としては根強く残っているとみてとれます。
フェミニズムの歴史とは?
フェミニズム思考の人や活動団体が増えているのは、最近の話ではありません。
フェミニズムという言葉は、20世紀に入ってからよく使われるようになりましたが、それ以前から活動はあったので歴史は長いといえます。
ここでは、世界と日本におけるフェミニズムの歴史を簡単にご紹介します。
世界のフェミニズム活動は4つの波
まず、世界のフェミニズムの活動をみていきましょう。フェミニズムが特別に盛り上がった波が3つありました。現代のフェミニズムは第4派の波ともいわれています。
①19世紀末~20世紀前半:欧米で参政権を求めた運動
第一波は、欧米で女性の相続権や参政権を求めた動きです。イギリスでは、女性参政権獲得を求めた女性の集まり『サフラジェット』が、政治や行政に男性と同じように参加する権利を取得しました。
②1970年代前後:アメリカから世界に『ウーマン・リブ』
第二派は、現代のフェミニズムの始まりとされている女性解放運動。男女平等にして、女性の発展を目指す主張です。
③1980年代~1990年代:多様性や差別の考え方
第三派は、男女の平等に加えて、人種や肌色、性的志向など関係なく個性を受け入れようと主張する動きです。
④2010年代~現代:SNSによる主張
現代のフェミニズムが第四派といわれています。ポイントは、SNSの存在。SNSの発信により、瞬く間に広がり、時には過激な印象に受け取られてしまうこともあるのが特徴です。
日本のフェミニズム
始まりは19世紀後半(江戸時代末期)
日本におけるフェミニズムの始まりは19世紀後半(江戸時代末期)。
江戸時代というと、男性至上主義。今では信じられませんが、日常的に女性の人身売買があり、既婚女性は離婚を要求できず、女の子は初等教育が受けられない、といったで「男尊女卑」が当たり前の時代でした。
明治維新改革後、女性の地位は変化を遂げ、女性は離婚を申し出ることが可能になり、男女が初等教育を受けられるようになりました。
1970年:日本でも『ウーマン・リブ』
アメリカから世界に広がった『ウーマン・リブ』は、1970年頃から日本国内でも広がり学生運動も活発化。
制度化が進んだのは1980年代から
フェミニズムによる制度や体制化が進んだのは、1980年代からです。政府はそれまでの国内でのフェミニズム運動や世論に押される形で、男女平等に近づける数々の法を制定しました。
制定年 | 法名 |
1985年 | 雇用機会均等法 |
1995年 | 育児・介護休業法(男女同等の家庭的責任と権利) |
1999年 | 男女共同参画社会基本法 |
2001年 | DV防止法 |
女性用風俗とフェミニズムの関係とは?
一昔前は、風俗というと「男性が利用するもの」という認識でした。女性が利用するなんてもってのほか――歴史を見てもわかる通り、今よりも昔のほうが女性差別が激しかったといえます。それを証拠に女性用風俗もほとんど普及していませんでした。
比べて今は、全国各地に女性用風俗が展開しています。需要が増えているのは、実はフェミニズムの意識が関係しているようです。
フェミニズム思考が世間に周知された結果
女性用風俗は日本だけでなく、世界にも存在しています。
男女平等、という考えが昔と比べて進んでいるのは、国による法律の制定で風潮が変わったことが大きいですね。しかし、国や政府も大きな出来事がなければ法を新たに作るようなことはなかなかしません。
雇用機会均等法や育児・介護休業法などが制定された背景には、フェミニズム活動により、国民の声が大きくなったことが関係しているといえます。
風俗において、男性向けだけでなく女性向けも増えているのは、フェミニズムの観点から言うと、以下のことが言えるのではないでしょうか。
- 女性が自分で物事を選択しやすい世の中になっている
- 「女性が風俗なんて…」という社会全体の考えが少しずつ薄くなっている
フェミニズムは、男性が女性がというよりも、”平等”というのが根本にあります。
風俗という性サービスも、男女平等であるべきでは?ということですね。
風俗業界への差別意識
世界的なフェミニズムも強まったことで、昔と比べると男女差別が少なくなったといえますが、風俗業界に対してはまだまだ差別意識があるのが実情です。
最近も、風俗業界に対する差別の決定打となったことが起きました。
2021年4月、新型コロナウイルスの救済措置として事業者向けに支払われる国からの給付金で、風俗業者が対象外となりました。これには、風俗業者もだまっておらず、国などに「平等を保障した憲法に反することで、私たちも社会の一員として認めてほしい」と訴えました。
しかし国側は「性風俗業は本質的に不健全なので、国民の理解は得られないだろう」と反論しています。
性に関わる職業に対する差別や偏見を浮き彫りにした裁判であるといえますね。
女風の需要は高まってはいるが男性を上回る可能性は低い
現代は、女性の社会進出が昔と比べて増えていることもあり、女性用風俗の需要も高まりつつあります。だからといって、将来的に女性用風俗も男性向けの風俗店と同じぐらいまで店舗数が増えるかというと、Noに近いといえます。
これは、フェミニズムではなく男女における身体の特性の違い。
中身の話をすると、女性はイク経験をしたことがない人が多いです。対して男性はフィニッシュが明確ですよね。女性は男性と比べると、イクことよりもその前の前戯が大切!と思っている人も少なくありません。
男性は「イケたら満足」と身体的な快感を求めやすいですが、女性は精神的な快感を多く求めがち。
実際に寂しさを埋めるために女性用風俗に通っている女性は非常に多いです。女風利用者は、イクことをメインとしていない人が意外に多いので、人によっては、ホストクラブやイケメンが多い飲食店なども風俗と同じような感覚で、寂しさを埋める手段として利用している人もいます。
女性用風俗はフェミニズムの広がりの象徴
今回は、フェミニズムの歴史や内容、女性用風俗を始めとする風俗業界とフェミニズムの関係を解説しました。
フェミニズムは、女性の権利に着目されがちですが、根底は”男女平等”です。風俗においても、男性が利用しているように女性も普通に利用して良いのでは?という思いになるのは当たり前ですよね。
世界でも日本でも、フェミニズムがあるということは、社会から性の不平等は消えていないということでもあります。しかし、昔よりは少なくなっているといえるので、女性用風俗のニーズが増えていることにつながっているのでしょう。
女性用風俗の歴史については以下をご覧ください。
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