大人たちの夜の社交場、バー。お店で出会った人々やバーテンダーと、お酒を交えて談笑するのには憧れますよね。けれど、こんなふうに悩んだりしていませんか?
- あの独特な雰囲気の中でどうやって会話をすればいいんだろう
- そもそも、何をきっかけに話し始めればいいんだろう
- 会話をするのが上手な人は、何を意識しているんだろう
実は、この記事で紹介する方法を実践すれば、誰でもバーで打ち解けるコツを掴むことができます。
なぜなら、これから紹介する方法は、3年間バーテンダーとして働いてきた私が、初対面の相手と打ち解けるために実際に用いてきた会話術だからです。
この記事では、バーでの会話において大切な考え方に加え、実践的なコツを「会話の始め方」と「続け方」に分けて紹介して行きます。
この記事を読み終えることで、バーで打ち解けるための第一歩を踏み出せるようになります。
バーでの会話で最も大切なこと
バーテンダーはいつも何を意識しているのか
バーテンダーがお客さんと会話をする中で、何よりも大切にしていることは、何よりも「相手に気持ちよくなってもらう」ということです。
接客業なのだから当然…と思われるかもしれません。しかし、そこには深い理由あります。
気持ちよく話せるお店だと感じて貰えれば、当然お店での滞在時間は伸びます。そうすれば飲むお酒の量が増え、それが売上の向上に繋がります。
そして、いい気分を味わったお客さんは、帰った後そのお店を仲間にどう話すでしょうか?
「最近、いい店を見つけたんだ」
そう言って、後日仲間を連れて再びお店にやって来るのです。そうすれば、売上はさらに上がることになります。
バーテンダーの役目は、お客さんに心地よい時間を過ごして貰いながらも、同時に店舗の利益が増えるウィンウィンの関係を構築することです。
そのために絶対に必要な考え方が「相手に気持ちよくなってもらう」ということなのです。
バーテンダーの会話技術は、あなたにも役立つ!
バーテンダーが実際にお店で用いる「相手に気持ちよくなってもらう」ための会話術は、あなたがバーで打ち解けるのに非常に役立ちます。
なぜなら、相手を気持ちよくさせることができれば、あなたは段々と信頼され、「この人ともっと話したい!」と思わせることができるからです。
例えば、自分が大好きな趣味について沢山話せると、気持ちがいいですよね。けれど、自分がどれだけ好きなことでも、相手によっては興味を持ってくれないこともあります。
そんな中、もしもあなたの話をずっと楽しそうに頷いて聞いてくれる人がいたら、どうでしょうか。
「もっと話していたい」
そう感じて、きっとその人のことを好きになるはず。そう、実は、バーテンダーの会話術とは上手に話すための技術ではありません。相手に気持ちよく話し続けてもらう、つまり「聞き上手」になるための技術なのです。
そして、これはあなたがバーで打ち解けるために有効な技術でもあります・ずっと聞き役に徹するのは気疲れしそう…そう思われるかもしれません。
しかしながら、あなたがバーで打ち解けるためには、周りの人たちに「あなたともっと話していたい!」と思わせる必要があるのです。
次の項目からは、その技術の内容を詳しく解説して行きます。
バーテンダーの会話術
「言い返し」の技術で聞き上手になろう
あらゆる場面で、聞き上手になれる方法があります。それは「相手の言葉を言い返す」という方法です。
なぜなら、そうすることで相手は自分の話を聞いてくれていると感じ、ずっと話し続けたくなってしまうからです。
この方法は「傾聴」とよばれ、相手に自ら話をしてもらうために心理学やカウンセリングにおいて用いられている技術でもあります。
相手の言葉を言い返す、と聞くとピンと来ないかもしれません。ここで重要なのは、そっくりそのまま言い返す「おうむ返し」ではなく、相手の発言を要約した上で言い返す、ということです。
具体例として、話し相手がこう言ったとしましょう。
「昨日はすごい雨でさ、もう靴とかびしょ濡れで、大変だったんだ」
会話が始まるチャンスです。ここで、相手の言った言葉を要約して言い返してみましょう。
「靴の中に水が入ってくるくらい、ひどい雨だったんですね!」
同じ内容の言葉を返しただけに聞こえますが、もしこのように返事が帰ってきたとしたら、あなたならどう答えますか?
「そうそう、それで…」と話の続きをしたくなるのではないでしょうか。
ここでも忘れてはならないのは「相手に気持ち良くなってもらう」という姿勢です。相手の発した内容の中に見える相手の気持ちを大切にして、共感してあげましょう。
バーテンダーの「会話の始め方」2ステップ
ステップ1:「質問」から始めるのはNG
会話を始めたいとき、多くの人がまず「質問」を投げかけようとします。
しかし、これは一概にはおすすめできません。なぜなら、どんな質問が答えにくいのか、失礼に感じるのかは相手によって様変わりするからです。
実際に、私は勤務する中で、あるお客さんに対して良かれと思って「ご趣味は何かあるんですか?」と投げかけて、失敗したことがあります。
「趣味」というプライベートにいきなり踏み込んでしまったことで相手は気を悪くしてしまい、それ以降会話が全く進まなくなってしまったのです。
質問をされた側は、どういう形かで解答をしなければなりません。つまりそれは、大げさな言い方をすれば、相手に行動を強制していることにもなります。
このように、相手から何か聞き出そうとする行為は、時に相手にプレッシャーを与えかねません。
ステップ2:返事に困らない言葉を投げかける
質問をすることでプレッシャーを与えかねないのだとすれば、一体どうやって会話を始めるのでしょうか?その答えは「返事をに困らない言葉を投げかける」ということです。
バーテンダーとしての立場なら
「美味しそうに飲まれますね」
「何かあったらいつでも呼んでくださいね」
といった言葉になります。
こういった言葉を投げかける理由は二つあります。
一つは、適当に返事をすればいいので、相手にかかるプレッシャーが少ないということ。もう一つは、こちらから声をかけることで「私は話しかけてもらって大丈夫な存在ですよ」というアピールになる、ということです。
実際に、多くのバーテンダーはそういった言葉を小出しにして、お客さんの様子を伺っていきます。
そうして相手の反応を見て、話してかけても気を悪くしなさそうであれば、
「こちらは初めてですか?」
「外は寒かったですか?」
といった答えやすい質問にシフトしていきます。
特に話をしたくなさそうな雰囲気ならば、質問に踏み込むのは辞めましょう。ここは自制して、向こうの気が変わるのを待ちます。
以上の方法は、あなたが客としてバーにいるときにも利用できます。カウンター越しにバーテンダーがお酒や食事を用意しているのが見えたら、是非とも
「すごい手さばきですね」
「綺麗なカクテルですね」
と、相手が返事に困らない言葉をかけてみましょう。
同様に、近くに座っている他のお客さんに対しても
「それ(お酒や食べ物)、美味しそうですね」
といった言葉を投げかけるのも良いでしょう。
相手によっては「このお酒、すごく美味しいんですよ」といった言葉を返してくれます。
そうなれば、会話の立派なスタートです。
バーテンダーの「会話の続け方」
会話をスタートさせることができれば、あとは複数回ラリーを続けていきましょう。会話を継続するために先ほどお伝えした内容を覚えていますか?
そう、ここで「言い返しの技術」の出番です。なぜなら、一度会話がスタートすれば、そこには相手に気持ちよく話してもらう大きなチャンスがあるからです。
実際に、相手の言葉を要約して返していき、どんどん話を続けていきましょう。
先ほどの「このお酒、美味しいんですよ」
という返事が来た例で言えば、
「よく飲まれるんですね」
「イチオシなんですね」
といった言い返しをしていきます。
一度相手に「話を聞いてもらえる」と思わせれば、会話はどんどん深まっていきます。
何度か言葉を交わしているうちに、あなたの緊張も解けていくはず。そうしたら、少し気を抜いて仕事や趣味といったプライベートな質問にも移れるようになります。
先ほどプライベートな質問を避けよう、とお伝えしましたが、会話がスタートしたあとなら挑戦する価値があります。なぜなら、バーテンダーがその場を取り仕切っているからです。
もし嫌な質問をされて気を悪くしたとしても、そのお客さんはバーテンダーに話を振ることで逃げられます。バーテンダーが会話に割り込んだり、他の人に話を振ることでその場を整理してくれます。
あなたが他のお客さんと会話が楽しめそうだと思ったら、バーテンダーを頼りの綱にして、少しずつ踏み込んだ話題を投げかけていきましょう。
まとめ:あなたはバーで打ち解けられる!
いかがでしたか。最後にもう一度内容を確認しましょう。
- バーでの会話で最も大切なこと
常に「相手に気持ちよくなってもらうこと」を最優先に考えましょう。聞き上手になれば、あなたは相手から少しずつ信頼されていきます。 - 「言い返し」の技術で聞き上手になろう
相手の言葉を要約して言い返す「傾聴」を利用して聞き上手になりましょう。 - 会話の始め方
いきなり「質問」することにはリスクがあります。「返事に困らない言葉」を投げかけましょう。 - 会話の続け方
「言い返し」の技術でラリーを続け、少しずつ踏み込んだ質問をしていきましょう。困った時はバーテンダーの助け舟があります。
上記で紹介したステップを踏むことで、あなたは初めてのバーでグッと打ち解けやすくなります。