セックス依存症(性依存症)という病気をご存じですか?
これは、特定の相手とのみセックスをするということができず、不特定多数の相手と関係を持たないと心を保つことが難しかったり、セックスせずにはいられなくなり行為自体に依存してしまう病気です。
アメリカのプロゴルファーであるタイガー・ウッズがこの病気を告白したことは記憶に新しいと思います。
どうしてもその名称が一人歩きしてしまい、性欲が強いだけ、ただ人よりもセックスが好きなだけ、などと思っている人も多いのですがこれは立派な病気です。
ひどい場合は性犯罪で警察に捕まってしまうような行動をしてしまうこともあります。また、重度のセックス依存症になった場合は治療費に多額の費用がかかることもあるようです。
それでは、なぜセックス依存症になってしまうのか?その原因やなってしまった場合の症状などをまとめました。
セックス依存症 簡単チェックリスト
まずは、セックス依存症の簡単セルフチェックリストを見てみましょう。
- セックスをした後にむなしさを覚える事がよくある
- インターネットの性的なサイトにはまっている
- セックスに関する妄想をやめられない
- 性欲が無いのにセックスをする事がよくある
- 性的なビデオ、映像、画像を集めている
- セックスの欲求が高まると理性を保つ事が出来ない
- セックスの回数が人よりも多いと思ったことがある
- 生活に支障をきたすほど、性交渉やマスターベーションをしてしまう。
- 何か失敗した時に慰めてもらうのはいつも異性だ
- セックスをしている時だけ心が満たされる
- 不特定多数の異性とセックスする
これらの項目に当てはまる数が多いほど、セックス依存症である可能性が高くなります。7つ以上あったら疑っても良いかもしれません。
セックス依存症になる原因
セックス依存症になる原因は様々ですが、ひとつは幼少期の親子関係が大きく関係していると考えられています。
親からの愛情不足や子供の頃に受けた性的虐待のトラウマ、育児放棄などが主な原因となるようです。
また、幼少期ではなくとも親が亡くなってしまったことなどのトラウマが原因でセックス依存症になることもあります。
“誰でもいいから自分を愛してほしい“
”愛されていると実感したい“
そのような強い感情がセックスという愛を確かめ合う行為に依存してしまうようになるのです。
その結果、セックスをしているときは幸せな気分を感じ脳内にドーパミンが分泌され、その快楽を覚えた脳が更にドーパミン分泌を求めるようになります。
こうしてセックスや性的な行動がやめられなくなってしまい、セックス依存症になってしまいます。
他には、親子関係のトラブルがない場合でも「インナーチャイルド」という幼いころから気持ちが成長できないのが原因で愛情を求める結果、セックス依存症になることもあります。
また大人になってから強くストレスを感じた場合でも発症することがあるようです。
セックス依存症の症状
セックス依存症になってしまった場合、日常生活に大きな影響を及ぼします。例えば、性的な行為に夢中になり常にセックスやマスターベーションのことを考えてしまいます。
その結果、エスカレートして普通の恋愛やセックスでは満足できず、不倫をしたり、本来してはいけない場所でセックスをしてしまい多くの人に迷惑をかけてしまうこともあります。
また不特定多数とセックスをしたり、恋人にセックスばかりを求めてしまい恋愛関係がうまくいかなかったりなどということも起こりえるようです。
他にも仕事に集中できずミスを連発してしまったり、健康問題に気を配らなくなってしまうということもあります。
セックス依存症は危険性が高い
“セックスは誰でもしていることだし、セックス依存症になったところでそんなに困ることがあるの?”
そう思ってしまいがちなこの病気ですが、実は様々な危険があるのです。最悪なケースでは取り返しのつかない事態になることもあります。
まず女性の場合、望まない妊娠や性病の可能性が高まります。不特定多数とセックスを繰り返す結果、妊娠や性病の確率が高まるのはもちろんですが、セックス依存症の方の場合はコンドームをつけずにセックスをする人が多いためです。
中絶をする場合は十数万円単位のお金がかかりますし、何より心と体に大きな負担がかかることになります。
また、セックス依存症の方は、セックスという欲求を満たすため浮気や不倫をすることがあります。
もちろん不倫は不貞行為ですので法律に違反します。その結果、家庭崩壊となってしまうこともあります。
不倫をした場合、自分が既婚者であれば離婚の危機が訪れたり、その結果自分の子供に会えなくなる可能性もあります。
更に相手が既婚者の場合は相手の配偶者から慰謝料を要求されることになります。自分がまだ独身の場合は、縁談があった際に身辺調査をされ過去の不倫がばれた結果、縁談が破談になるといったことも充分に考えられるでしょう。
また、社会的制裁を受けた場合は会社に居づらくなったり、退職しなければならなくなることもあります。
また最も大変なのが常にセックスのことを考えてしまうので、電車の中、職場、家庭などの日常生活に支障をきたす恐れがあります。忘れたくても忘れられず、マスターベーションを繰り返すこともあります。
セックス依存症の予防法
セックス依存症になってしまった場合、大事な恋人や家族、友人、社会的地位などを失ってしまう可能性があります。
では、セックス依存症にならないためにはどうしたらいいのでしょうか。
まずセックス依存症になる方は幼少期の親からの愛情不足や性的虐待などのトラウマを持っていることが多いです。この対処法としてはカウンセリングが一番いいでしょう。
カウンセラーとじっくり話し合い、自分はどんなトラウマを持っているのかを見つけることが大切です。
また、ストレスを感じてセックスへの欲求が高まった場合には体を動かして気分をまぎらわせたり、趣味に没頭してみましょう。
カラオケで大声を出したり、女性の場合は喋ることによりストレスを発散するのでひたすら友人とおしゃべりするのもいいですね。
また、自分はセックス依存症ではないか?と少しでも悩んでいるのであればまずは専門機関を受診してみましょう。
セックス依存症は単なる性的な思考ではなく病気ですので、自分自身で改善することは非常に難しいです。
この場合、しっかりとした精神療法を行っている精神科を受診しましょう。セックス依存症は“認知行動療法”という精神療法で治療する必要があります。これは考え方を矯正することで行動を変化させるという治療です。
また、薬物療法のみでセックス依存症の治療はできませんが、性衝動など抑えるために補助的に使われることもあるようです。
また、数は多くありませんがセックス依存症を専門的に治療する精神科などもありますので、そちらを受診するのもいいでしょう。
どの精神科がいいかわからない場合は各都道府県にある精神保健福祉センターに相談してみましょう。
最後に
まだまだ日本ではセックス依存症はあまり認知されていない病気です。そのためどうしていいかわからず悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
セックス依存症になる女性は自分に自信がなかったり、劣等感を抱えているタイプが多いといわれています。
まずは現状に満足し、自分自身を大切にすることから始めてみましょう。そして自分ひとりで悩むことはせず、カウンセリングなどを積極的に活用しましょう。